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国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 健康・医療戦略の推進に必要となる研究開発 平成29年度採択
2017-12-26

個体・臓器老化研究拠点

拠点の概要
 ヒトを初めとする多臓器生物では、寿命に応じて各臓器はほぼ同じ時相で、加齢にともなう機能低下をきたすことから、臓器間で個体老化を制御するメカニズムが存在すると考えられる。一方、老化遅延・健康寿命延伸のためには、全身すべての臓器・組織が、そろって機能を維持する必要があり、分子、細胞、組織/臓器、個体の階層を超えた統合的な理解が欠かせない。そこで本研究開発拠点では、全身から各臓器・細胞へのアプローチと細胞・臓器から個体へのアプローチの双方向の研究を融合させる戦略で、哺乳類における個体老化の基本メカニズムの解明と生物学的根拠に立脚した個体老化制御や加齢性疾患の予防戦略開発につながる成果の発信を目指す。

これらの目的を達成するため、老化研究・組織幹細胞研究・臓器連関研究・各臓器機能研究に関する第一線の多彩な研究者が集結し、以下の3つの研究項目を強力に推進するチームを構成した。これらのチーム内・チーム間での多方面からの視点に基づく連携研究を推進するとともに、本事業の「老化機構・制御研究拠点」「老化研究推進・支援拠点」とも有機的に連携し、既知の概念にとらわれず、臓器・個体老化における作動原理と制御の研究発展につなげる。

 

[研究項目1]  中枢性のネットワークによる臓器・個体老化の制御のメカニズムの解明
1) 個体老化制御中枢の存在の有無とそのメカニズムの解明:
視床下部に想定される個体老化制御中枢の役割を明らかとし、各臓器・個体老化調節メカニズムを解明する (今井、片桐、本橋)。

2) 中枢での体温・生体リズム制御と個体老化・病態:
体温と代謝の中枢調節機構や生体リズム維持機構の加齢性変容と病態発現メカニズムを解明し、その制御による個体・臓器老化予防戦略を開発する(中村・土居)。

 

[研究項目2]  臓器連関による臓器・細胞の老化制御のメカニズムの解明
1) 臓器間神経ネットワークを介した個体・臓器老化調節メカニズムの解明:
求心性・遠心性神経による臓器老化の個体レベルでの調節機構を解明し、その制御による臓器老化・病態の予防戦略を開発する(片桐、今井)。

2) 血中因子や血管内皮細胞による個体・臓器老化調節メカニズムの解明:
サイトカイン、エクソソーム、代謝物などの血中を流れる因子や各臓器に分布する血管内皮細胞からのシグナルによる臓器老化の個体レベルでの調節機構を解明し、その制御による臓器老化・病態の予防戦略を開発する(尾池、片桐、清水、高倉)。

3) 臓器内炎症性細胞を介した個体・臓器老化調節メカニズムの解明:
マクロファージやリンパ球など、臓器内炎症性細胞による臓器老化の個体レベルでの調節機構を解明し、その制御による臓器老化・病態の予防戦略を開発する(眞鍋、柳田)。

 

[研究項目3] 臓器内微小環境の加齢性変容の解明と外部環境因子などによるその修飾制御メカニズムの解明
1) 組織幹細胞システムに基づく組織老化機構とその修飾メカニズムの解明:
組織老化を担う実質細胞集団とその分子機構を解明し、局所性・全身性のネットワーク制御や環境因子による修飾制御を解明する(西村、佐藤、高倉、佐谷)。

2) 老化関連メカニズムに基づく臓器共通メカニズムとその制御機構の解明:
レドックスバランス制御・ミトコンドリア動態などの老化に関連するメカニズムを通じて、各臓器に共通する老化の基本作動原理を解明し、臓器間ネットワークや環境因子による制御機構を明らかとする(本橋、南、尾池)。

3) 各組織・臓器の加齢性変容機構の解明:
心・腎・膵ランゲルハンス島・骨・褐色脂肪・白色脂肪・筋・消化器・皮膚などの各組織・臓器の加齢性変容機構を解明することにより、臓器老化の共通作動原理および個別作動原理を明らかとする(眞鍋・尾池・清野・山縣・清水・片桐・佐藤・西村)。

4)老化モデルやヒト早老症に立脚した老化病態解明とその制御:
α-クロトー変異マウスをモデルとした老化病態発症のメカニズム解明、および、ヒト遺伝性早老症原因遺伝子変異に基づく老化病態の解明を通じ、老化そのものと多彩な病態形成機序を明らかとし予防・治療法の開発へと結びつける(川内、横手)。

 

 

構成メンバー

【研究開発代表者】
拠点長 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科 教授)
研究開発課題名:「個体レベルでの老化進展に関わる臓器連関機構の解明とその制御」

【研究開発分担者】
副拠点長 西村 栄美(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 教授)
研究開発課題名:「皮膚の局所性・全身性制御に着目した臓器老化原理の解明」

今井 眞一郎(先端医療センター研究所 客員上席研究員)
研究開発課題名:「視床下部特定神経細胞群による臓器連関及び老化•寿命制御機構の解明とその薬理学的制御」

中村 和弘(名古屋大学 大学院医学系研究科 教授)
研究開発課題名:「体温と代謝の中枢調節機構の加齢変容と病態発現のメカニズム」

土居 雅夫(京都大学 大学院薬学研究科 准教授)
研究開発課題名:生体リズム維持機構による個体老化・加齢性臓器障害の予防戦略」

眞鍋 一郎(千葉大学 大学院医学研究院 教授)
研究開発課題名:「組織恒常性の加齢性変容と炎症老化を駆動する分子機構の解明」

尾池 雄一(熊本大学 大学院生命科学研究部 教授)
研究開発課題名:「ミトコンドリア関連臓器の老化とエネルギー代謝機構変容•破綻との連関の分子基盤解明」

清水 逸平(新潟大学 大学院医歯学総合研究科 特任准教授)
研究開発課題名:「褐色脂肪—他臓器連関による老化制御メカニズムの解明」

柳田 素子(京都大学 大学院医学研究科 教授)
研究開発課題名:「腎臓内微小環境の加齢性変容の分子的定義付けと可視化にもとづく老化制御メカニズムの解明」

清野 進(神戸大学 大学院医学研究科 特命教授)
研究開発課題名:「膵島老化の分子機構の解明」

佐藤 俊朗(慶應義塾大学 医学部 准教授)
研究開発課題名:「消化器組疾患発症制御を目指した加齢形質変化の理解」

高倉 伸幸(大阪大学 微生物病研究所 教授)
研究開発課題名:「血管老化の分子機構の解明とその制御」

佐谷 秀行(慶應義塾大学 医学部 教授)
研究開発課題名:「間質細胞による腸管老化の制御機構の解明」

本橋 ほづみ(東北大学 加齢医学研究所 教授)
研究開発課題名:「中枢神経系のレドックス・バランス制御による個体老化抑制の試み」

山縣 和也(熊本大学 大学院生命科学研究部 教授)
研究開発課題名:「SIRT7による臓器老化メカニズムの解明とその制御」

柳 茂(東京薬科大学 生命科学部 教授)
研究開発課題名:「ミトコンドリア動態による臓器老化の共通作動原理の解明」

川内 健史(先端医療センター研究所 上席研究員)
研究開発課題名:「α-クロトー変異マウスをモデルとした多彩な臓器老化症状の発症要因の解明と制御法開発への展開」

横手 幸太郎(千葉大学 大学院医学研究院 教授)
研究開発課題名:「早老症に立脚したヒト老化病態の解明とその制御への応用」

 

拠点全体の概要は こちら

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